ファッションデザイナー「宇津木えり」について

宇津木えりプロフィール

ファッションブランド「eriutsugi」の原点

ファッションデザイナー「宇津木えり」がどのようにしてデザイナーとしてのキャリアを歩んできたのか、Q&Aのインタビュー形式でプロフィールをご紹介いたします。

 

デザイナーの原点。着たい服で楽しんだ学生時代

Q. 服に興味を持ったきっかけはどこにあったのでしょうか?

洋裁が得意だった母が手づくりで私の服を作ってくれたことが、すべてのきっかけです。

自宅には、いつでもファッション誌が置いてあって、母はそれを参考にして自分の服や私の服を作っていました。幼い頃の私は「いろんな服を着たい」「おしゃれしたい」という気持ちが強い子どもでした。歌やダンスなど、表現することが好きで、小学生の頃は同級生とピンクレディーやキャンディーズのものまねをして、テレビ出演もしていました。

その衣装もそっくりにしたい!と思っていたので、服に対するこだわりを持ち始めたのは、きっとこの頃だったと思います。母にいつも、もっと服を作ってとお願いしていたくらい。何よりも「おしゃれすること」がしたかったです。

 

宇津木えりプロフィール

 

Q. デザイナーを目指そうと思ったのはどのタイミングでしたか?

上手じゃないけれども歌って踊れる歌手を夢見たり、中学・高校生時代はバンドにも挑戦してみたり、興味を持ったものはすぐに挑戦できるというありがたい環境でした。

高校卒業後の進路を考える時期になった時に知人からファッションの道を勧められ、パタンナーのような緻密な作業は性に合わないなと思って「それならデザイナーかな?」くらいな気持ちで決めました。(笑)

そして高校3年の夏から苦手な勉強を初めて必死で頑張り、女子美術大学の短期学部のファッション科に入学できました。

 

宇津木えりプロフィール

 

Q. 女子美術大学に入学してからどうでしたか?

女子美では、ファッションやアートに関心の高い学生が集まっていたので影響を受けながら、どんどん自分の気持ちも高まってデザイナーになろうと強く思うようになりました。その頃楽しんで頑張っていたダンスをきっぱりやめたということもありました。「二兎追う者は一兎をも得ず」と思って。

デザイナーの道に進もうという気持ちが高まり、学校では美術の全般的なことを学んだので、よりファッションに特化した勉強がしたいと考え、エスモードジャポンに通いました。すると今度はだんだんとパリで学びたいという気持ちが出てきて。(笑)

経済的には大変だったと思うのですが、両親はエスモードに1年、パリ留学を1年することを応援してくれました。外国人留学生も多数集まる環境は面白いし、良い経験になると当時の先生に勧められたのもあり、パリにある2年制のデザイナー養成学校として有名な「ステュディオ・ベルソー」に1年間通いました。

パリの生活も慣れてきた頃、日本でパリコレからスタートするデザイナーズブランドの立ち上げから参加しないかというお話をいただき帰国を決め、デザイナーのアシスタントとして就職をしました。

 

宇津木えりプロフィール

 

作りたい服を届けるやりがいと葛藤

Q. デザイナーの一歩を踏み出し、苦労や葛藤はありましたか?

まず、自分の不甲斐なさにくじけ「ファッションなんてもう嫌だ」とちょっとした反抗期みたいな感情が湧いてきて。(笑)2年半で退職して、ファッションから離れようと勢いでトラックの運転手をやってみたりしていました。でも、友達と遊ぶお金も尽きた頃に改めて、両親にパリ留学までさせてもらったのにどうしよう、全てを失ったと思っていました。

そんな時に自宅で昔編んだニットのジャケットがしまってあったのを見て「何かを作ろう」と思い立ってニットの糸をほどいて編み始めたら楽しくてたまらないと同時に涙が出てきちゃって。「これは私の宝なんだ」と気づき、物を作ることができれば私は生きていけると思うようになりました。

 

宇津木えりプロフィール

 

Q. 再びファッションの世界に戻ってきたのですね。

いろんな考えを整理していくうちに、私には足りなかったのはマーケティングだと思い「売る」ということを意識できる会社でデザイナーとして再度働いてみようと考え、これまでの自分の服のテイストとは異なる会社に入社しました。違うテイストも学んでみたいとも思ったので。

5年間働かせていただく中で、自分の好きなテイストと異なることに苦しさを味わう場面も多々ありました。ボタンひとつ、ポケットの形ひとつも「そうじゃない」と言われることも多くて、自分の手がけた服が売れず、お客様の気持ちがわからず・・・。

そんな時に結婚して息子が生まれました。紆余曲折あってシングルマザーになり、生活のために仕事をする中で改めて自分が得意なこと、好きなことで思いきり服づくりをしたいと思いました。

Q. そこからデザイナーとして自分を活かせるフィールドを見つけたんですね。

新しいイメージを作りあげて提案できるものづくりは自分に向いているということがわかってきた時期でもあり、テイストが近いと感じた「ツモリチサト」にご縁があって働かせていただきました。2年後に「クレプリ」というラインのチーフデザイナーの経験もさせていただきました。

さらにご縁のあった企業で「フラボア」という自身のブランドを立ち上げるという夢にまで見たチャンスに恵まれ、一生に一度のチャンスと捉えて死ぬ気で頑張ろうと思い挑戦しました。

その後、「フラボア」を離れ他の企業で「メルシーボークー、」の立ち上げをさせていただきました。14年間このブランドでいろんなことを経験させてもらい、良いタイミングも重なり別会社で「eriutsugi」を立ち上げさせていただきました。

 

宇津木えりプロフィール

 

Q. なぜ、ご自身の名前でのブランドを始めようと思ったのですか?

ブランディングから全てを任されるクリエイティブデザイナーとして、たくさんの経験をさせていただいた中で、規模が大きくなるほど作りたいものを作る難しさを感じるようになりました。当然、服づくりは色んな方々が関わり、私一人ではできるものではありませんが、やりたいこと、作りたいものを真っ直ぐに作りたいという気持ちがだんだん膨らんできてしまいました。

Q. 今回は完全に独立されたんですね。

ほぼ100%自分がやりたいこと、作りたいものを作るには、自分でブランドを運営していくべきなんだと、やっと心から気づきました。自分でやれるようにご指導いただいた会社には、感謝してもしきれないです。

 

宇津木えりプロフィール

 

自分のクリエイティビティを信じた服づくり

Q. 「eriutsugi」ではどのようなこだわりを持って服づくりをされていますか?

服が喜ぶことをしたいという想いで服づくりをしています。なるべく愛情を込めて作られた原料や素材を使いたいという想いがあります。

手間暇をかけると、そこには愛情やつくり手のエネルギーが宿ると思っています。ポジティブな想いを持って作られた服を着れば、きっと幸せな気持ちになるだろうと信じていますし、そんな気持ちになって服を着てもらえたら、デザイナーとしてとても嬉しいです。

そしてこれからは更に、クリエーションの神に忠実に楽しく作るのが、私の服づくりです。

Q. 服にも想いが宿るという感覚はどういうところから芽生えたのですか?

自然栽培に2013年に出会い、学び実践してやっているうちに、そう感じるようになりました。

自然栽培は、共存、循環、愛です。そして人が関わることが自然栽培。
今この作物はどうして欲しいのか?って気にかけるのって愛情だと思うんです。

自然界の法則に従いながら丁寧に育てていく。服づくりも同じで、インスピレーションに忠実にデザインし、丁寧につくられた服は、服自身が自信をもって輝くと思います。人と同じだと思う。そのように、服に対して感謝の気持ちを持つのがデザイナーとして、あたりまえに思えるようになりたいです。

 

宇津木えりプロフィール

 

Q. 服に対する感謝の気持ちが強いですね。

私は心の底から服が好きです。

ファッションが好き。「着たい」とか「好き」と思った服を着る。ファッションは楽しむものだと思っています。心で感じられる服。

自分の容姿を気にしていた若いときの私が「美しいことは、ひとつじゃない」とパリ留学の時に実感して、だから、私のつくる服は「このようなデザインの服があっていいんじゃない?」と新しい提案をし、本心でいいなと思う服を作るようにしています。

今日着ている服で気持ちは変わります。服って心の支えにもなってくれる本当に有り難いものだと思っています。

 

宇津木えりプロフィール

 

Q. 「eriutsugi」のデザイナーとして、これからどんな姿を魅せていくのでしょうか?

まずは自らが楽しみながら、真っ直ぐに良いものを作ろうと服づくりをしている姿ではないでしょうか?本当に楽しんでいるので!私の作った服を楽しく着ている人が世界中に増えたら嬉しいです。

デザイナーがこういう素材がほしいとか、求めるもので世の中が動いてしまいます。私はデザイナーであり消費者でもある。責任重大ですね。人にも環境にも配慮された優しい素材を開発し、その良さがお客様にも伝わり、多くの人が求めるようになれば、世の中の作るものも変わってきます。でも、考えすぎて服に楽しさや優しさがなくなってしまったら幸せではないです。

生地屋や工場、附属屋さんがあっての服づくりです。日本でものが作れる環境を維持することが困難な今の時代、未来の日本のデザイナーの為にも維持できるように先輩として頑張りたいです。今後は予約発注の難しい問題もたくさん出てきた経験をもとに、違うやり方にも挑戦していきます。

工場の方々の良いものを作ることに真っ直ぐに向かうプロ意識やこだわり、どんな想いでつくっているのかということを可能な限りお伝えし、服づくりの楽しさと大変さをさまざまな人々に知っていただける機会を作り、服の価値をお伝えし、みんなが幸せになるような服づくりを広めていけたら嬉しいです。

 

宇津木えりプロフィール

 

Q. 今おすすめのラインアップを教えてください。

「eriutsugi」の服を知っていただける機会づくりとして「もってけドロボー」と名付けたラインを作りました。オーガニックコットン、日本縫製、何度も仮縫いや試作も重ねたパターンでの製作ですが、その名の通り、お客様をドロボー扱いしてしまう(笑)ほどのお値段でのご提供です。

そして日本の工場さんを応援することの一環としてでもあります。

Tシャツは、無地の白。男性女性どなたでも着やすく、何にでも合わせやすいものにしました。サイズは4サイズ展開で、サイズによっては女性がワンピースでも着られるくらいの、どこを探してもなかなかないようなビッグなサイズも作りました。肌触りや着心地が良く、すっきり見えるシルエットです。洗えば洗うほどカジュアルな味のある風合いが出てくるオーガニックコットン素材です。

デニムはワンサイズですが、男性女性兼用です。ウエストがゴム調節になっているので、幅広い方々が着用できます。生地が薄いので、軽くて履きごこちの良さにもこだわりました。デニム素材は、履きこみ、洗えば洗うほど自分だけの表情のデニムに育てることができる楽しみがあります。「eriutsugi」のパンツはらくちんで、体型をカバーできる美シルエット。得意のデニムパンツです。

 

今後、どんどん商品展開をしていきますので、ファッションブランド「eriutsugi」をよろしくお願いいたします。

 

宇津木えりプロフィール